前回長々とスタンダードの変化に触れたが、我々は厳密にスタンダードをプレイしなかった。大会に出るわけではなかったから。途中からちょっと意識し始めるが、それもかなり先のこと、中2の終わりくらいからだろう。
というわけで中2の初めは相変わらず好きなカードで遊んでいた。だいぶギャザ人口は増えており、クラスの友達と休み時間によく話していた。
あるときひとりが『ゲームぎゃざ』という創刊されたての雑誌を買ってきた。
この頃の表紙は田中久仁彦氏の「ぎゃざガール」が飾っていた。
そして、そこには1999年の日本選手権の「優勝デッキ」リストが公開されていた。
そう、このカード!
『憎悪』
これぞ漢の一枚!
もちろんインスパイア受けまくりだったので、このデッキに似せて作ることにした。
日本チャンプなんだぜ、これ使っていれば最強なんだぜ、と。
・・・
マジックはそんな単純なゲームではない。
そんなゲームであれば20周年など迎えられない。
日本を制したものでも・・・MtGは制さない・・・
それを痛感するくだりは次回に譲るとして、早速パーツを集め出した。これが目指したデッキ。
MTG Wikiより 日本選手権99 東野氏によって使用
クリーチャーはすべて集まった。
キーカード『憎悪』は友人から1枚、持っていた『ヨーグモスの取り引き』をショップでトレードして2枚、で計3枚集まった。
『肉占い』もショップで交換してもらい、1枚だけ得た。
空いているスペースには『ブラッドペット』と『ギックスの僧侶』を入れることにした。『肉占い』は強力だが、代わりにこれくらいのチューンは有りである。事実、アメリカの名プレイヤー「クリスピキュラ」の憎悪デッキはこの2匹を選択していた。3ターン内キルの可能性が上がるからだ。
東野氏は憎悪無しでも勝てるシャドーウィニー、クリス氏はよりピーキーチューン。そのハイブリッドになったわけだ。
いわゆる中途半端である。
そして中途半端どころか、必須のカードが抜けていた。
『呪われた巻物』
『反射池』『貿易風ライダー』とともにテンペスト3種の神器と呼ばれたカード。
入手できなかった理由。
A.3000円だったから。
これは並の子どもには無理である。
当時のウィニーデッキにはほぼ入っていた。阿呆な私は「除去で代用すればいいや」と『恐怖』を選択していた。
はっきり言って汎用性が違い過ぎる。
もちろんクリーチャーの除去にも使用される。当時トーナメントレベルで序盤からタフネス3以上のクリーチャーは少なく、この巻物の2点で十分であった。当時『ボトルのノーム』が強いとされていたのは、巻物に耐えられるタフネス3であり、ライフも得られる防御性能によるものだ。
さらにプレイヤーにもダメージがいくので最後の一押しにもなる。
おまけに1マナで出る。神器に相応しい神性能だ。
そして黒や赤にとっては茶色のダメージソースであることが最も重要なのであった。
この下りは次回。
「最強のデッキが出来た」と意気揚々と誤解していたmory少年の悲しい話。ハンカチ必須である。