花火

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フランスで行われる国際花火選手権。世界中の花火職人の栄光。

 

我々のチームが準備した「5色牡丹75連発」がパリの夜空に舞えば、国際花火職人連盟より栄誉ある最高評価「Lêgende」が得られるに違いない。打ち上げる順番が難しく、規定の制限時間ギリギリなのが懸念材料ではあるが… しかし練習では上手くいった、抜かりはない!

 

我々の前に今宵打ち上げる三尺玉達が運ばれてきた。綺麗に整った球形。打ち上げ筒に入れられる前からこの一糸乱れぬ形。「完璧」に含まれる玉の字は、まさにこれらのことを言うのであろう!

 

「時間です、順番に打ち上げてください」

・・・あれ・・・これって・・・ぜんぶ・・・おなじ・・・

 

Rule&Analysis

  5色の花火カードをそれぞれ1から始め5まで順に場に出していく。25枚すべて並べることができたらプレーヤーチームの勝利。ここまでだと只の七並べ。

 

このゲームの面白い所は、自分の手札は自分では見えないということ。インディアンポーカーさながら裏向きに手札を持つのである。

 

よって周りの人に手札のヒントをもらいながらプレイしていく。

ヒントの出し方にも条件があって、

  1. 1色選び、その人の手札のその色のカードを全て教える

  2. 数字をひとつ選び、その人の手札のその数字のカードを全て教える

のうちどちらか。つまりひとつのヒントでは数字か色のどちらかしか特定できないことになる。

 

 手番に出来ることは、カードのプレイ、不要と思われるカードを1枚捨てる(この行動でヒントを出す回数を増やせる)、ヒントを教える(回数制限あり)、の3種類。カードのプレイを計3回失敗、または山札無くなって一巡したらおしまい。

 

 25枚全てを並べるのは中々難しい。山札が無くなってから一巡してもゲーム終了になるからだ。カード総数は50枚で、山札からの補充は、カードをプレイしたとき、あるいは捨てたときなので、5人プレイ(ひとりの手札4枚)のときは30枚の山札となり、ラスト一巡加えて計35回が「プレイor捨てる」機会となる。不要牌を捨てる行動はヒントの回数を増やすために有用だが、完全勝利するためには25枚プレイする必要があるのだから、11回捨てた時点で不可能になってしまう。また、5のカードは1枚しかないので、うっかり捨てた時点で完全勝利はなくなってしまい気持ちが折れてしまう。

 

作者のボザは親日家であり、「東海道」「タケノコ」といった和風のゲームも作成している。なかでもこの「花火」は、ヒントのとき全てを伝えることができない、即ち受け手が「行間を読む」プレイが必要となり、ルール的にも日本人らしい和風なゲームに仕上がっている。

 

冬は空気中の水蒸気が少なく星や花火が綺麗に見える。

 

このゲームは、周りからの期待、すなわち空気が読めないと険悪になってしまう「火薬」の要素をはらんではいるが、そこは協力ゲーム、是非仲良くプレイして「澄んだ」空気で美しい花火を打ち上げたいところである。