MASTERS GALLERY

photo credit: Gauis Caecilius via photopin cc

 

18世紀に旧体制(Ancien régime)を崩壊させたフランス革命。

その一世紀後にフランスではもうひとつ革命が起きている。

それは19世紀半ばに美術界で起きた革命、「印象派」によるものである。

 

宗教や歴史画しか「絵画」として認められなった時代。

若きモネ、ルノワール、ドガらは、従来の慣習に囚われない絵画を発表した。

はみ出し者と言われながらも、「筆触分割」の手法にて『現代』を描いた画風は一世を風靡する。

これがゴッホやゴーギャンの「ポスト印象派」、さらには20世紀のピカソの「現代美術」の礎となったのである。

 

 

 

芸術は誰かが認めるものではない。彼はこんな言葉を遺した。

 

 

 

『私の作品は議論の必要はなく、ただ愛するだけでよい。』

 

~Claude Monet~

 

Rule&Analysis

 

 ライナー・クニツィアの名作競りゲーム『モダンアート』の簡易版。イメージを近代美術から印象派の絵画へと変更してある。純粋な『モダンアート』のカード版やテーマを切手に変えた『スタンプス』といった種類もあるのだが、そこはこのパッケージを見て頂きたい。

 

フィンセント・ファン・ゴッホの『星月夜』

 

 この雰囲気だけで「買い」だろう。国内には在庫が無く、イギリスから輸入することになった。

 

 モネ、ゴッホ、ドガ、ルノワール、フェルメールの5人の画家が取り上げられており、それぞれ絵柄は6種類。手番にすることは、「手札から自分の前に1枚カードを出す」だけ。ある画家の絵が場に6枚出たら1ラウンド終了で得点計算に移る。場に多く出ていた種類1位、2位、3位までが、1枚につき3点、2点、1点となる。例えば自分が、1位を2枚、2位を1枚出していたら計8点ということ。これを4ラウンドで勝敗を決める。

 

 特殊カードもあり、

 

  1. 追加で同じ種類をもう一枚出す

  2. 追加で好きなカードを伏せてもう一枚出す

  3. 追加で山札から一枚カードを引く

  4. 皆で一斉に一枚ずつ出す

  5. いずれかの画家に+2トークンを置く

 

 +2トークンの意味は、ラウンド終了の集計時に13位に入っていれば、その数のボーナスがつくというもの。もし1位に乗っていれば1枚につき5点だ。この効果は重複するので逆転を狙う手段になる。

 

 

 特殊カードは数枚あるが、多くはただ場に出すだけのバニラカード。大体ルールを聞いた人は「このルールでゲームになるのか?」と不思議な印象を持つ。始めると分かる。非常に面白いゲームになるのだ。

 

 4人でプレイで仮定。極端な例だが、場に出ているものほど得点が高くなるので、手前の人と同じものを出していったとしよう。6枚場に出たら終了なので、このまま出していったら、3番手、4番手は損をすることになる。つまり下家は上家と同じことをしては勝てないのである。これは基本。

 さらにこのゲームはクニツィアお得意の「枚数不均等」がある。最多のゴッホと最少のフェルメールでは総数が4枚も違う。使ったカードは回収されないので、34ラウンドの頃には、まだあまり出ていない種類が猛威を振るうことになる。1ラウンド終了時から常に場の流れを見ていなければならない。勝負するラウンドを間違えると絶対に勝てない。

 

 このゲームで一気にクニツィアに惚れた。手札を1枚ずつ出していくだけで、この面白さか!と。

 

 カードのデザインも相まって非常にお気に入りのひとつである。モネは個人的に好きな画家であり、彼の絵が使用されているのも嬉しい。このゲームをより楽しむために「イラストに採用されている絵画」の解説をコラムにて行うことにした。