コンセプト

photo credit: dana_h79 via photopin cc

太古の洞窟より壁画が発見されている。

何かを伝えたいとき、人はまずそのまま見たものを描いた。

いつしかそれが煩わしくなり文字が発明される。

 

文字は絵よりも単純な事が多く、使い手のスキルを問わない。

形式、形態に多少の違いはあれど、現在は文字と言葉で

世界中の人と意思疎通が可能である。

 

もし…

 

言葉も文字も使えなくなれば、

あなたはどう意思を伝達するだろうか。

 

やはり直視的な象形に頼らねばならないだろう。

 

絵を描くのが苦手な人はコミュニケーションが困難になる。

 

でも大丈夫。

現代には『コンセプト』が発明されているのだから。



Rule&Analysis


2014年のドイツゲーム大賞最終3候補の一角。大賞はすでに紹介している『キャメルアップ』。


ハイレベルな昨年の大賞争いを象徴する、これまた面白いコミュニケーションゲーム。

やることは非常に簡単。


1.出題者はカードに書かれた「お題」を確認する。

2.ボード上には117個のアイコンが示してある。

  ここにコマを置くことで、その「お題」を表す。

3.他の回答者はそれが分かった時点で答える。

  当てた人と出題者にポイント。

出題者にはメインコンセプトを示すコマとサブコンセプトを示す

コマが与えられる。

どう使うかというと、

メイン 「建物」「高い」

 

これだけなら「スカリツリー」や「ブルジュ・ハリファ」、

「エンパイア・ステート・ビル」、など候補はいくらでもある。

しかし、以下の情報が加わるとどうか。

サブ 「国」「赤」「青」「白」


国旗の色だとしたら、有名なのはフランスのトリコロール。

フランスが有名ではあるけれど、「ロシア」や「オランダ」、

「イギリス」、さらには「スロバキア」だってそうだ、って言う

人もいるだろう。高い建物があるのは「フランス」「イギリス」となるが、答えはまだ確定しない。

(しかし、回答者はあてずっぽうで好きなだけ答えてもよいので、 

 実際のゲームではこれくらいのヒントで正解が出る)笑


メインで「そのもの」を表し、サブで「関連情報」を補完する。

コマはこのように使い分けるのだ。


さらにコマはいつでも好きに置いたり、外したりしていい

上記例に続けるなら、メインコンセプトにさらに加えて、

メイン(追加) 「鉄筋」「三角」

 

これなら『エッフェル塔』待った無し、だろう。

 

今の流れが面白いと思った人は、このゲームを楽しむ素質が十分に備わっているはず。

 

「お題」は990個準備されている。

1枚のカードに初級3つ、中級3つ、上級3つ、だ。

日本語版なので「日本専用の」お題も準備されている。

 

中級と上級はかなり難しくて面白い。2者の難易度の差は、

中級=具体、上級=抽象、のイメージである。

中級は難しいがメインコンセプトが定めやすいものが多く、

上級はセリフだったり、四字熟語だったり、果ては概念のような

ものまである。これらの言葉を「たった117個のアイコン」で

回答者に言わせるのは苦難の道だ。

しかし、このゲーム、コマの置き方にルールは無い

これが117個のアイコンに無限の可能性を与えている。


例えば、




これで四字熟語を示したり、




これで色の割合を示したり、

こういった発想で何とか伝えていく。

異国の地で言葉が通じなくても、身振り手振りで何とかなる

これと同じ発想だ。

(管理人は英語が話せないが「サンキュー」と「ソーリー」だけで

 イギリス旅行をした

 

このゲームは「出題者」「回答者」ともリアルタイムだから

面白い。

どちらも常に『考える』ので退屈しない。そして、回答者がお題を当てた瞬間も勿論、一方で当たられたときの出題者も嬉しいのだ。

 

参加者の誰もがここまで思考し興奮できるゲームを、優れていると言わずして何と言うのか。

 

【ゲーム中に感じることランキング】

1位:絶対これで伝わると思うのに伝わらない(出題者)

2位:全然答えの見当もつかない(回答者)

3位:もっと詳しく伝えたいのに伝える術がみつからない(出題者)

4位:こんなにすんなり当てるなんて私は天才だ(回答者)

『キャメルアップ』とともに納得のノミネート作品。

『ディクシット』や『ピックス!』好きには是非お勧めしたい。


プレイ記は「傑作選」を載せたいものだ。