アブルクセン

photo credit: Patagonia (24) via photopin (license)

人間が最も恐ろしい動物だ。

同じ種で殺し合いもするし、必要以上の殺しだってする。

 

他の動物は必要以上の狩りはしない。

 

・・・

 

そんなことはない。

 

群れを乗っ取ったライオンはその群れの子を全て殺すし、

ハイエナは狩りのライバルになり得る子ライオンを殺す。

 

Snatcher

 

この獣だってそうだ




Rule&Analysis



ネット上で面白いと評判であり、一時期品切れになっていた。

作者はクラマー。



手に入らないと欲しくなるのは

人情であることはとあるゲームでも触れたが、例に洩れず気になったので再販待って購入。

見ての通り、カードのみのシンプルなコンポーネント。

数字が1~13まで書かれたカードが8枚ずつで104枚と、ジョーカーの5枚。その気になればトランプ2セットで出来そうである。


コンポーネントデザインもそんなにだし、ルールさえ分かれば

わざわざ買わなくていいんじゃ?って思った人、


否!!


名作ボードゲームに余すところ無し

このデザインが優れている理由は後述。


前置きが長くなったが、ルール説明は簡単なので大丈夫。


~ルール~

配られた手札13枚を好きな順に場に出していく。

同じ数字は複数同時に出しても良い。
誰かが全て出しきればゲーム終了。

場に出したカード1枚1点、手札に残ったカードは-1点となる。


簡単である。



しかし、これだけだとゲームでも何でもないので、いつもの如く、これを名作たらしめるエッセンスがある。



それもたった一つ。

スナッチsnatch:強奪する、ひったくる、かっぱらう


自分の場にカードを出したときに、他の人の場の一番上のカードと見比べて、条件を満たせば発生。

条件は、①その人の数字より大きいこと、②枚数が同じこと

のふたつ。

そしてこれは必ず発生する、これ大事。


ではスナッチとは何が起きるのか。
まず、条件を満たした場札を自分の手札に加えるかどうかを選択する。これを選んだら、相手は失った分のカードを補充してスナッチ終了。

これを選択しなかった場合は、相手に選択権が移り

①スナッチされたカードを自分の手札に戻す

②スナッチされたカードを破棄し、新たに同枚数のカードを引く

のどちらかを選択しなければならない。


カードをもらうという行為は、一時的に手札は増えてしまうものの、手札と合っていればより多い枚数のペアを作れるので、以降にスナッチされにくくなるという利点がある。

スナッチをくらい続けるといつまでも手札は減らない。


しかし、スナッチをくらうことが必ずしもデメリットでないのがこのゲーム。実は山札の横に6枚オープンされていて、カードの補充はこの公開してあるものから選んでもよいのだ。

例えばこのようなときに、4の2枚ペアがスナッチされたら、13が2枚も補充できるってわけ。スナッチは場も削られて手も遅らされるが、得たカードによっては逆転の望みも託せる。

死中に活あり、だ。

 

もしスナッチが、行った人がどうするか決めるだけであったら、

これほどまでに面白いゲームにはならなかったはずだ。

「相手に」選択権が移る、という点で、攻撃を受けることが必ずしもデメリットではないとしており、システム的にも、そして心情的にも一方的な展開にはならないように出来ている。

 

ジレンマとラックで構成され、盛り上がること必至。
なんというか、ゲームとしてのバランスが凄すぎるのである。

面白いカードゲームは多々あるが、このゲームのシステムはもはや

芸術や発明の域である。
これはもう作者に敬意を表して購入してみてほしい。損はしない。

 

あ、そういえばコンポーネントの話がまだだった。
ふと手札から顔を上げて、まわりの人を見てみよう。

スナッチした人、された人、皆こんな顔してるでしょう。

もちろんあなただって