5本のキュウリ

photo credit: Gurken einkochen via photopin (license)

~ギネスブック~

『最も栄養の低い果実』

1位:きゅうり

 


水戸黄門「毒多くして能無し。植えるべからず。食べるべからず」

 


俗説『きゅうりにはビタミンCを壊す酵素がある』

 


・・・

まるで良いところがありません。

胡瓜は悲しくなりました。

90%以上含まれている水分を涙に換え、おいおいと泣きました。

 

見かねたお釈迦様は言いました。

「お前の体は美しい線を描いているね、まるで早馬のようだ」

 

こうして精霊馬となった胡瓜は、年に一回、天道から魂を乗せて

走る誇らしい仕事を得たのです。


Rule&Analysis




緑のパッケージとタイトルの

頭文字F。


これだけで作者は分かる。

フリードマン・フリーゼだ。

正確にはこのゲーム、もともとはトランプゲームだったそう。

そのアレンジだ。


カードの数字は1から15で4枚ずつ。計60枚。
あとはキュウリ駒がついている。簡単なカードゲームでも、

こういう細かなコンポーネントが付属していると雰囲気が出る。

素晴らしい。

ゲームはトリックテイキングで、一順中で最大の数を出した人が

トリックを獲得する。


手札は7枚なので7ゲーム制。

しかし、途中のトリックをとっても意味はない。

大事なのはラストゲームだけである。

これがこのゲームのポイントだ。



じゃあ、最後に大きい数をとっておけばいい?

 いやいや、違う。最後にトリックをとった人は失点なのだ。



じゃあ、最後に小さい数はとっておけばいい?

 いやいや、そう簡単にはいかない。



フォローのルールを説明していなかった。

このゲームはスートのフォローではなく、数のフォロー

前の人が出した数以上を出さなければならない。

出せない人は手札の一番小さい数を出さねばならないのだ。


つまり、ラスト前の6ゲームで小さい数のカードはどんどん

減ってしまうのだ。


これがこのゲームの本質。

本当の勝負は前座の6ゲームであることがお分かり頂けただろう。


7ゲーム目で最高の数で無ければいい。つまり2番でもいい。

なにも最低の数で無くていいのだ。


だから、当然他人のフォロー失敗時の最低数は覚えておく。

それ以上しか有り得ないのだから、7ゲーム目の目安がたてやすい。
あとは1枚くらい強めの数を残しておき、6戦目の搾取を避ける。
勿論初期手札の強弱はあるが、立ち回り次第でラスは回避出来る。

これがこのゲームの基本だろう。


最後にもう一つ。
このゲームは失点をキュウリで表しており、6本のキュウリを

獲得してしまったら脱落となる。

タイトルの表す通り、5本までしか食えないということだ。
失点は、

『7ゲーム目に自分が出したカード』に描かれているキュウリ分。

カードに応じて1~5本まである


しかし、このカード、

「1」 が混じっていると話は変わる。

絵の通り、2倍食わねばならないのだ。

3本以上のキュウリであれば即死である。


当然、最小数なので7ゲーム目までに吐き出してしまうことが多いが、このカードの存在で無傷の人が1ラウンドで突然脱落する可能性もある。楽なゲームは無いのだ。

これは全員に緊張感を与える良いルール。


さて、このパッケージであるが、正直あまり面白そうに見えない。
しかし、食わず嫌いはいけない!キュウリも然り。
シンプルで手軽に遊べるし、キュウリ駒もかわいらしいので

「一遊の価値あり」だ。

くれぐれも『お漬物』になりませぬよう。